定食屋がないならカフェでランチすればいいじゃない、とは誰の弁だっただろうか。

お局という権力が未だにのさばる絶対王政、その只中を生きるOLたち。彼女たちが集うオフィス街――戦場ともいう――には、彼女たち好みのオシャレなカフェが軒を連ねている。

オシャレカフェといえば女子会。

そして女子会と言えば、“女の闇”である。

女子会の闇

女子会とは、その名の通り女子のみで執り行われる儀式の通称である。その形態は女子会が行われるコミュニティに応じて変化するため、非常に多様である。本項で取り上げる「女子会」は、オフィス街のカフェで行われる女子会を指すこととする。

この場合、構成員は上に挙げたような戦うOLたちである。コミュニティにより差はあるが「本当に腹が膨れるのかそれは」と言いたくなるような食事やパンケーキを食べながらきゃぴきゃぴと会話を交わす、といった形が取られることが多い。女子会への出席率や参加態度によって、今後のコミュニティ内での立ち位置が大幅に変動することもあるという。女子会は、OLたちにとっては宗教的儀式であり戦の場でもあるのだ。

女子会で行われる会話の8割は「その場にいない人間の悪口および愚痴」である。残りは「表面上の褒め合い」または「男の話」であることが多い。その詳らかな内容は、ここに記すことがはばかられるほど過激なものであることが多い。そのことを知らず「女の子たちがかわいいお菓子を食べながらガールズトークに花を咲かせている」と勝手な夢を見て「女子会に混ざりたい」などという妄言を吐く男も少なからず存在するが、「女子会」という名前とその特性から基本的には男子禁制である。命知らずの男が興味本位で女子会に潜入し、精神を病んだあげく怪死を遂げた事例すらある。

閉じた女子会

上に挙げた女子会は、カフェという公共の場で行われる「開かれた女子会」である。対してコミュニティ構成員の個人宅などで行われる「閉じた女子会」も存在する。

「閉じた女子会」ではまれに、黒魔術に似た儀式が行われることがある。「闇鍋」と呼ばれる儀式で、各自好き勝手に持ち寄った食材およびそうではないものを鍋に放り込み、適当に火を通して食べるというおぞましいものだ。味は具を持ち寄る構成員各位の良心にゆだねられている。特定の構成員の殺害を目的として劇物が混入される場合もあり、社会問題にもなっている。

女子社会の根本

驚くべきことに、女子会は大人の「女子」たちだけでなく小学生などの「女子」のあいだでも開催されている。その内容は、大人たちのものと規模の違いはあれど「仲良し同士集まって」「お菓子などを持ち寄り」「特定の人間への悪口や愚痴に花を咲かせる」という本質はそう変わらない。小さなものではあれど、小学校の教室も彼女たちにとっては立派な社会的コミュニティだ。それに属する彼女たちは、既に「女子」として生きていくための訓練を自らに課している。

人は女に生まれてくるのではない、女になるのだ。せめて彼女たちが「女の戦場」を無事に生き抜けることを祈るばかりである。

【アクセス】

「coffee vegetable THE CUPS」

住所：愛知県名古屋市中区錦２丁目２−１４−１ X-ECOSQ.

HP：http://cups.co.jp/

電話：052-209-9090

営業時間：8時00分～23時00分

土日 10時00分～23時00分