カルビ。

韓国語で肋骨を意味する言葉で、一般的に牛バラ肉のことを指す。

バラ肉は肋骨まわりの肉なので、直球と言えば直球な呼び方である。ただ、名前の響きから具体的にどういう場所の肉なのかというのは分かりにくい。

このように肉の部位の呼称というのは、どこの肉なのか、どういう肉なのかが分かりにくいものが多い。よく考えてみると「なんでそんな名前になったの？ていうか何語？」と頭をひねるような珍妙な名前であることもしばしばだ。肉に関するうんちくなら負けないぜ、という通の方々でも、その由来まできちんと知っている方は少ないのではないだろうか。たとえ由来を知っていたところで、食事の場で知識をひけらかすような真似をすると総スカンを食らいかねない。博識を気取りたい気持ちはよく分かるが、美味しいお肉のためにもほどほどを心がけていただきたい。

肉の名前あれこれ

分かりやすいところからいこう。

心臓部分を指す「ハツ」。これは簡単だ。心臓を表す英単語、「hearts」からきている。なぜ複数形なのかは不明だが、深入りするとロクなことがなさそうなので考えないでおくのが吉である。世の中とは往々にしてそういうものなのだ。

サーロインは、腰の上部分の柔らかい部位。カルビに続き、パッと聞いただけでは何語なのかよく分からない感じのアレである。その実はフランス語で「腰の上部」を意味する「surlonge」から派生した「sirloin」という英単語。元をたどれば案外ドストレートである。

そのドストレートなサーロインの隣にある「ランプ」。よく脂の乗ったこの部位はその昔、ランプの燃料として使われていたことからこの名がついた。

とでも思ったか。嘘だ。ランプの名前は単に尻を意味する英単語「rump」からきており、明かりのほうのランプは「lamp」である。バカが見るブタのケツとはよく言ったものであるが、ランプは牛のケツなので気を付けていただきたい。

内もも部分のすぐ下にある部位を「しんたま」と呼ぶ。「芯玉」と書き、その丸い形をそのまま表しただけのとっても素直なネーミングである。唯一の問題点は、多くの人が「新玉ねぎ」のことだと誤解する恐れがあることだろう。「しんたま」といえば「新玉ねぎ」。それがこの世界のスタンダードだ。

「センマイ」は牛の第三胃袋で、特徴的なヒダが千枚重なっているように見えることからそう呼ばれる。その見た目から「雑巾」と呼ばれたりもするのだが、これは食べ物につけていい名称ではないのではないだろうか。確かにパッと見は雑巾かもしれないが、パッと見の印象をそのまま呼び名にしてしまうのはあまりにも浅慮ではないのだろうか。確かにパッと見はどう考えても雑巾であるのだが。

名前の由来を知ると、なんだ案外そのままじゃないか、というものも多いことが分かる。世の中とはたいがいそんなものなのだ。ただ、新たなうんちくを得たからといって手ごろな友人を焼肉に連れ出し講釈を垂れようなどということは考えないほうがいい。肉を焼くどころか、我が身が燃えることになるかもしれない。

【アクセス】

「豚郎 伏見店」

住所：愛知県名古屋市中区 錦１丁目１０−９ BFS伏見 1F

HP：http://krc-c.co.jp/butaro.html

電話：052-205-7877

営業時間：11時30分～14時45分 17時30分～23時00分

土曜日 17時30分～22時00分　日曜定休