マグロは止まると死ぬ、という話がある。
泳ぐために生きるのか、生きるために泳ぐのか
魚の仲間はエラを使って呼吸をする。口から取り込んだ水をエラに通し、水に溶けた酸素を体に取り込んでいる。金魚なんかを飼っていた人なら、水槽の中でエラがぱかぱかと動くのを見たことがあるだろう。
広い外洋を泳ぎ回る回遊魚であるマグロは、エラをぱかぱかしているだけではとても足りないほど大量の酸素を要する。そのため、口とエラ蓋を開けて泳ぎ、その勢いでエラに水を通すことで効率的に大量の酸素を体に取り入れているのだという。他の魚と違ってエラをぱかぱかするのが苦手なマグロは、泳ぐのをやめてしまうとエラにうまく水を通すことができず、窒息して死んでしまう。そのため、休むために速度を落とすことはあっても、完全に止まることはないのだという。もう泳ぐために呼吸してるんだか呼吸のために泳いでいるんだか、本人(本魚?)も分からなくなっているんじゃないだろうか。鶏が先か卵が先か。難しい話である。
生きろ、マンボウ
マンボウはビックリするほど簡単に死ぬ、という話がある。
まっすぐにしか泳げないため岩に激突して死ぬ。
体についた寄生虫を殺すためにジャンプし、着水の衝撃で死ぬ。
食べた魚の骨がのどに刺さって死ぬ。
などなど、その死因は様々かつあっけなすぎるものばかりなのだが、以上の死因たちは端的に言ってすべて嘘である。
マンボウは、ストレスを感じやすかったり皮膚が弱かったりといった理由から飼育が難しい。それは確かなのだが、さすがにここまでぽこじゃか死ぬことはないという。旋回して泳ぐこともできるし、そもそもマンボウが暮らしている外洋に岩などないし、水族館で飼育されているマンボウはジャンプして着水したあとも元気に泳いでいるというし、マンボウの主食はクラゲやプランクトンだという。
知らぬは一生の恥
上に挙げたマンボウの死因が世に広まったのは、とあるTwitterユーザーがネタでつぶやいたものが真実として拡散されてしまったことがきっかけだという。
これ以外にも、インターネットミーム、もしくは都市伝説としてあまねく広がってしまった虚説は数知れない。ユーモアとして楽しむのはもちろん個人の自由だ。しかし正しい知識を持っていないと、水族館のマンボウの水槽の前で彼女に「マンボウって、ウミガメとすれ違うストレスで死ぬんだぜ」などとドヤ顔で講釈を垂れ、挙句それを見知らぬTwitterユーザーにネタにされてしまうので気を付けたい。
ピアスを開けても失明しないし、
コーラを飲んでも骨は溶けない。
名古屋人はえびふりゃーなんて言わないし、
ゆとり教育を受けた生徒も円周率はちゃんと3.14で教わった。
レミングは増えすぎても自殺しないし、
人は誰しもいずれ死ぬ。
Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/fsseo/www/010_oretachi-gohan/wp-includes/formatting.php on line 4387
Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/fsseo/www/010_oretachi-gohan/wp-includes/formatting.php on line 4387
Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/fsseo/www/010_oretachi-gohan/wp-includes/formatting.php on line 4387